ゼロタイムオートの夢 受け継がれる血筋 α-7xi(MAXXUM)
1991年、α-7000と第2世代α-iシリーズの成功で乗りに乗っていたミノルタは持てる技術をすべて投入し自動化を押し進めた野心的なカメラ郡を発表します
第三世代ミノルタαシリーズ「xi」
人間を自動感知し半身像までズームするオートスタンバイズームやハンドセンサーとアイセンサーを使いファインダーを覗く間に露出、絞り、シャッタースピードを適正値に設定するアイスタートなどの野心的な技術が搭載されました。が、
行き過ぎた自動化は当時のユーザーには求められておらず、ミノルタ暗黒時代の象徴とも言える存在になってしまいました
中古相場もフラッグシップ機である「α-9xi」以外は高くても2000円前後、状態によっては数十円で投げ売りされている惨状
なぜ革新的な機能をてんこ盛りに載せたのに大失敗したのか、それは当時のニーズに合っていなかったからと言えます
実際子供の運動会などで写真を取るママさんには自動で適正画角(?)までズームしてくれる機能は魅力的ですが、ミノルタハイエンドモデルの「7」ナンバーが付く機体を買うようなオタクやアマチュアにとって自動でズームは「勝手に画角を決めてくるおせっかい機能」になってしまい不評を買うことに
更にオートスタンバイズームやアイスタートを活用してもらうために省いたダイヤルなどもまたまた「7」ナンバーを買うようなオタクやアマチュアにとっては「簡単に切り替えられない上に分かりにくい」と不評を買いました
ただでさえ不評だったxiですがここでトドメをさされます
「ミノルタハネウェル特許訴訟」です
1987年から始まっていたミノルタとハネウェルの位相差AFに関する裁判ですが1992年に特許侵害が認められミノルタは165億円をハネウェルに支払うことになりただでさえ売れないxiをそのままにしておく事ができなくなりました。
翌93年にはダイヤルなどを復活させたα-707siを筆頭とするsiシリーズが登場しxiシリーズは終焉を迎えます
このxiの失敗によりミノルタはシェアを低下させた上に「ユーザフレンドリーなカメラを作れない自己満会社」という烙印を押されてしまいます(結局最後まで他社に奪われたシェアは取り戻せなかった)
当時の保守的なカメラマンたちのニーズを掴めず最後は特許裁判でトドメを刺されるという何とも不運なカメラたちです
というのが今日紹介する「α-7xi(MAXXUM)」です
ハードオフで330円だったので購入しました
買った時すでにグリップは崩壊していたのでセリアで買った革風の物を固形糊でくっつけて補修しています
今こうしてみてみるとやはり「時代を行き過ぎた」カメラだったのかもしれません
使ってみると聞いていた評判ほど悪い様子はなくむしろキビキビ動いていてAFも早く
xiレンズを使わなければオートスタンバイズームも無効化されるので初期玉で使う分には何も不自由は無いですね
操作系も聞いていたよりずっと使いやすい、ファインダー内に情報がインポーズされるのが近未来感溢れる
使ってみると結構使いやすいです。
やはり信じられるのは自分の感覚です、最後に正直なのは自分の手ですよ
当時のカタログ通り覗いたらもう合焦してます
すごいですねこれ、うちのEOS Kiss digital Xより遥かに高速ですよ。
インテリジェントカードシステムは第2世代αから引き継いでます
実は僕一枚も持ってません。
オートデプスカードでも買ってみようかな。
いかにスッキリしてるかがよくわかります
ダイヤルはシャッターボタンの上のやつと親指のところだけです
このシャッターボタンもよく考えられてて人差し指が楽な位置になるようになってます
これのおかげで握ってても疲れません、すごいですよこれ。
ここまで褒めてきた7xiですがもちろん不満点もあります
まず電池が2CR5な事です
この電池バカ高いくせにすぐ容量がなくなります、これは本当に駄目です
皆さんはAliexpressで売っている「R2CR5」を買うことをおすすめします、充電式です
とっても経済的です、お値段は6900円ですが2CR5が一個600円くらいなので12回使えば元が取れます。
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次にグリップが崩壊することです、これはミノルタのカメラ全部に言えることです、「最悪、汚い、元に戻らない」の3連はキツすぎます、
そして売れないことです
人気がないので買う時は激安ですが
売るときは多分0円買い取りです
不人気機種なのでね。これは仕方がない。
まぁこんな調子で紹介したα-7xi(MAXXUM)ですが
実はこいつの遺伝子がまだ現在のカメラに残っています
搭載されたアイセンサーや情報がインポーズされるファインダーなどは
EVFに変わって残っています
ハンドセンサーもα700に搭載されていました
KONICAMINOLTAになって発売された「α-7Digital」や
SONYになって発売されたα900にもアイセンサーは遺されています
時代に乗り切れず消えていった「全自動」の夢ですがその血は今でもカメラという名の下に遺っています。
ミノルタが思い描いたカメラと人間の対話思想「ゼロタイムオート」今、再評価されるべきだと思います
では、今回はこのぐらいで。